「芝実績馬のダート戦使用の考察」
先週芝の実績馬がダートでお約束のように見せ場なく敗れたケースがあったので自論を公開してみる。あくまで自論であり、是非の捉え方は人それぞれ違うと思います。そもそもみんな同じような理論で馬券を買えば、オッズが期待値を下回りその理論では勝てません。


最近はダートも賞金の高いレースが増えて充実してきましたが、以前は芝で通用しない馬がダート路線を使う傾向があった。近年ダート路線が整備され、賞金の高いレースも増え、地方荒らしで稼ぐ手段もありダート路線のレベルは高くなっており、体感的に「クラスが上がる程芝実績馬のダート戦使用は厳しい傾向」にあるとみています。


それでも依然として
ダート走りそうな血統、調教で動く馬は初ダートでも穴人気になりやすいクロフネアグネスデジタルように両方で超一流の走りをする馬もいますが、これは稀なケースで基本芝とダートは別物。今年のフェブラリーSでローレルゲレイロ(7着)、リーチザクラウン(10着)、レッドスパーダ(12着)、ザレマ(14着)、スーパーホーネット(15着)だったように芝の実績馬は穴人気になるが殆ど走らない。先週もそこそこ売れていたエイシンドーバーケイアイライジンドウソジンがどこにもいなかった。「調教動く馬=ダートも走る」ではない。勿論=が成立するケースもありますがヴァーミリアンなんかは調教では全く動かないタイプ。


また適正云々の前に
芝馬がダートを使ってくる場合勝負気配が低いケースも多い。芝で頭打ち状態になり目先を変えて使ってくるケースや、休み明けで使ってくるケースは足元の不安の少ないダートを選択することがある。同時にダート適正も計ろうという意図もあるのでしょうが、万全の状態で使われてくるケースは少ない。今年のフェブラリーSなんかは酷い状況でローレルゲレイロスーパーホーネットあたりは他のレースを使えば58、59背負わされるので調教替わりに使ったようなもの。

当然全く走らないわけではなく、たまに走るケースもあるからある程度売れる。

最近
芝の実績馬がオープンクラスで走ったケースでは仁川S7番人気で勝ったモンテクリスエス。一方で同じレースに出走していたリクエストソングは9番人気でブービー12着に敗れている。ともにサクセスブロッケンを輩出している父シンボリクリスエスでダートを走る可能性はあり、惨敗したリクエストソングも半兄にミリオンディスクがいた。

2頭の違いは何だったか。

適正の有無で片付けられるが、モンテクリスエスは未勝利戦ながら1度ダート使って2着があった。リクエストソングは初ダートで休み明けだった。モンテクリスエスは万葉S2着後、前走ダイヤモンドSで3番人気12着の不本意な負け方をした直後だった。勝負気配という点ではモンテクリスエスの方にあったと言えるだろう。


もう一頭1600万下を6番人気で圧勝した
ダノンカモンの例を見てみるとこちらもシンボリクリスエス産駒で初ダート。条件クラスになると芝居が下がるとは言えこれも適正があったクチだろう。当然こういうケースもあるがたまに走るとインパクトが強い。大半は先週のようにヒッソリと馬券圏外になっている。



「ダート血統&勝負気配次第で注意」


穴サイドできた例で少し古いですが印象に残っているレースが2鞍ある。

1つ目は2002年のプロキオンS。
当時5番人気で2着にきたのが
ヤマカツスズラン。阪神3歳牝馬1着、秋華賞2着のバリバリの芝の実績馬。それまで地方交流のダートで2回惨敗していたが陣営は敢えてまた使ってきた。父ジェイドロバリーということもあって地方2戦では穴人気していたが敗れていた。陣営は地方の深いダートが合わなかった、2走ともに休み明けやハナを切れなかったのが敗因と分析したのだろう。流石その道のプロ。結果軽い中央のダートでハナを切って2着に残した。


2つ目は同レース2006年7番人気で1着
メイショウバトラー
こちらも
父メイショウホムラはバリバリのダート馬
ダートはデビュー時に未勝利戦圧勝があったので適正は問題なかったクチ。ただ、前走ダートの欅Sを1年半の休み明けで12着に敗れていた。長期休養明けで0.8秒差なら、まぁ走っている部類だが、当時のレース前の陣営のコメントが「やはり力のある馬、ダートは合う」だった。

ヤマカツもメイショウも
前走休み明け初戦ダートで敗れていた。ダートで負けていたことで初ダートの初物期待てケースよりむしろ買い難いさがあったが、前走は休み明けが敗因として考えられた。前走ダートで負けているにも関わらず再度使ってきたということは、それなりに勝算があってのものでもあっただろう。

ダート血統で初ダートのお試しなどではなく、勝負気配がある場合は注意が必要と言える。

この理論でユニコーンS11着だった
マイネルレーニア(13着)を2008年プロキオンSで狙って失敗しているが、2頭との違いは芝向きの父グラスワンダー、前走1着に好走していた点と言ったところか。

ちなみに前述のモンテクリスエス、ダノンカモン、ヤマカツスズラン、メイショウバトラー、全て前走着外に敗れていた。



2010.9.22 「芝実績馬のダート戦使用の考察」 by TAKEZO